京都でスーパーマーケット環境調査を実施1(準備編)

フランスから飛び込んできたニュース

前回の本ブログで、「2022年1月、フランスで主な野菜・果物のプラ包装禁止処置が施行された」というニュースと、フランス政府が、「現在フランスの野菜・果物の37%が包装して販売されている」とコメントしたことをお伝えしました。
このニュースを受けて、京都市内のスーパーマーケットの青果物売場のプラ包装がどのような状況か気になりました。食品トレイ(発泡トレイ)については、長年にわたる消費者運動や流通事業者の努力で、かなり少なくなったと感じますが、プラスチック製のフィルムや袋での販売は多くなっているように感じます。
野菜のプラ包装やプラ製品について消費者の意識調査※1,※2、また排出実態調査※3などがあることはわかりましたが、特に近年のコロナ禍以降、店頭のプラ包装の実態調査は見当たりませんでした。「ならば、実際調べてみよう」と思いました。

簡易調査をやってみた

ということで、簡易な調査を2022年6月から7月にかけて京都市内の30店程度で実施し、商品点数でみた場合、無包装販売(はだか売り)は17.0%にとどまることがわかったこともお伝えしました(前回記事)。

この簡易調査から、先にあげたフランスの野菜・果物のプラ包装とは全く逆の結果が見えました。ただしそれは、どのスーパーでも一律ではなく、全ての青果物をプラ包装している店から、比較的はだか売りの多い店までかなりの開きがあることもわかりました。

「お店のプラスチック調査」の調査項目

簡易調査は、ブログ筆者堀が単独で、かつ、お店のアポイントを取らずに行ったので、あくまで参考データ程度のものです。ですが、およその傾向は見えたと思います。そこで、よりしっかりした調査を行おうと、簡易調査と並行して、京都大学地球環境学堂 浅利美鈴准教授の研究室メンバーと、調査項目の選定や調査票づくりの検討をすすめました。
議論を重ねて、10月初めに調査票ができあがりました。
調査票の調査項目は以下の通りです。

・店外
資源回収箱の設置と種類
・店頭
「おいしい水の供給器」の設置有無
・青果売場
野菜10種のはだか売り販売の品目数および売場面積の割合
・精肉・鮮魚・惣菜売場
トレイ・ラップ以外の売り方の有無
・乾物・菓子・調味料売場
はかり売り、バラ売り等の有無
・飲料売場
店頭の給水器の設置訴求や、ペットボトル飲料以外の選択肢訴求
・日用品売場
詰め替え袋商品の訴求など
・サッカー台
ロール状ポリ袋の適正利用の呼びかけ掲示の有無

調査の準備

10月以降、スーパーマーケット本社への依頼と本社ヒアリングを実施し、10月12日には、京都市内に研修に来ていた東京の大正大学地域創成学部の学生たちにも協力してもらい、京都生協の1店舗で試験調査を行い、彼らの意見もいれ、最終的に調査票を仕上げました。
調査ボランティアの募集では、市内の旧知の大学教員にお願いして、出向講義を行い、ボランティア募集を行いました。龍谷大学、京都産業大学、立命館大学、京都外国語大学の学生有志が参加してくれました。他、学区ごとに設立されている地域ごみ減量推進会議をはじめ、いくつかの市民団体※4
から有志の方が調査に参加してくださいました。
応募してくれたボランティアさんたちから、行動可能な地域、曜日・時間帯を尋ね、店舗との日程調整を行いました。
対象とした店舗は、京都市内に複数店舗を展開するスーパーマーケットチェーン(25社)のうち、20チェーンからそれぞれ1〜6店舗を、調査ボランティアさんの行動可能な地域などを考慮して抽出しました(1社のみ単独店)。

調査の実施

・実施主体
 京都市ごみ減量推進会議 2R型エコタウン実行委員会
・対象店舗 
京都市内のスーパーマーケットのうち62店舗(市内全スーパーの4分の1程度)。

(イオン2、イカリライクス2、イズミヤ5、エムジー5、京都生協6、コーヨー(マックスバリュー含む)3、サンディ3、西友3、ダイエー2、デリカシェフ1、生鮮館なかむら3、パケット(いそむら)1、パントリー1、フレスコ6、フレンドマート(平和堂)2、ヘルプ1、マツモト5、マツヤ2、万代4、モリタ屋1、ライフコーポレーション4、計62店。東山区をのぞく10区に分布)

・調査期間
2022年11月1日から30日(1店舗のみ試験実施のため10月中に実施)
・調査ボランティア
市民および学生ボランティア、計46人(うち大学生14人)
・時間帯

全店、平日の14時から16時の間に集中して実施
・手法
統一した調査票に基づき、調査員が訪問して調査。

調査員は、市民・学生ボランティア(計46人)と京都市ごみ減量推進会議事務局スタッフ(5人)で構成。
店舗調査は、ボランティアだけで行わず、必ず京都市ごみ減量推進会議事務局スタッフが参加して実施(一部、ごみ減スタッフ単独での調査店あり)
全店、本社を通じて、訪問日時のアポイントを取り、店舗で挨拶を行ってから調査を実施しました。

調査結果(予告)

調査結果から、京都市のスーパーマーケットの青果物売場のはだか売り比率や、他の売場でも、プラスチック削減、省エネ事例、健康を考えた商品展開など、スーパーチェーンごとに特色のある好事例が多く見つかりました。
3月1日(水)午後2時に京都市内で、好事例報告会を開催します。このブログでも青果物売場のはだか売り比率をはじめ、調査結果を数回に分けて、お知らせします。

以上です。

※1 野菜のプラスチック包装なし「OK」8割 タキイ種苗調査「脱プラごみ」意識高く
https://www.j-cast.com/trend/2019/08/31366346.html

※2 プラスチック製品に対する消費者意識・行動の可視化ツール ―プラ・イド チャートの提案と意義についてhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/daikankyo/12/1/12_20G0901/_pdf/-char/ja

※3 家庭系使い捨てプラスチック製品の排出実態調査
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmcwm/33/0/33_21/_pdf/-char/ja

※4 以下の各団体の有志の方が調査に参加してくださいました。京都市ごみ減量めぐるくん推進友の会、京都SKYセンターともつく、山科地域ごみ減量推進会議、松陽学区地域ごみ減量推進会議、日彰学区地域ごみ減量推進会議、桂東学区地域ごみ減量推進会議、柊野学区地域ごみ減量推進会議、有済学区地域ごみ減量推進会議、新日本婦人の会右京支部

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