グラフは語るその8 廃プラ輸出先とプラごみ海洋流出の多い国を見比べると

前回のグラフを見やすく、しました

今回はグラフより「表」が主役です。一応グラフも掲載します。前回「日本からの輸出される廃プラの行き先と量」の図が材質ごとに色分けしたため、見にくくなってしまいました。今回のグラフは、中国(香港含む)とその他の国・地域に分け、中国を黄色、その他を青にしました。ただし、PETフレークだけ、オレンジ(中国)と水色(その他)にしています。
日本からの廃プラ輸出の推移

今回の主役の表です

2017年まで、日本からの廃プラ輸出先は圧倒的に中国が多かったのですが、2017年末の中国の廃プラ禁輸を受け、日本の廃プラ輸出先は、世界各地に拡散しました(左側※1)。これを2015年に発表された海洋流出プラスチックの国・地域別データ(右側※2)と、対比させました。
右側のプラスチック流出量ランキングは、2010年の推計(最大値)ですので、参考程度に見ていただくとしても、日本が拡散した輸出先のほとんどが、流出トップ10に入っていた国であることがよくわかります。
プラ流出と廃プラ輸出先ランキング(正)

「日本からの流出量は少ない」なんて、誇れない

海洋流出プラスチックランキングで、日本は世界30位、流出量は推計で2〜6万トンとされています。中国や東南アジア諸国と比べてかなり少なく、このことで、「一部の不法投棄に対する対策として発生源対策は効率的ではない」、また「日本国内の2R推進は海洋プラスチックごみ対策にはならない」と発言する学識者もいます。

プラ海洋流出の多い国に、日本から大量の廃プラ

日本からの廃プラ海洋流出が2〜6万トンだとしても、2017年まで、最大の廃プラ流出国(中国)に毎年100万トン以上の廃プラを輸出していました。2018年の中国の輸入停止以降、東南アジアをはじめ、世界に輸出先が拡散しましたが、拡散した輸出先の大部分は、海洋プラごみ流出の多い国です。

廃プラ輸出は、相手国の分別回収を根付かせない

それに対して、「日本からアジア諸国に輸出されている廃プラは、商品なのでこれが海洋流出するとは考えられない」という考えもあると思います。また、「外国に日本のプラスチックリサイクルの経験・ノウハウを輸出するべき」との考えもあります。
ただ、外国から大量に廃プラが押し寄せる国で、国民や国内の事業所にプラスチックの分別排出を周知・徹底できるでしょうか。わざわざ分別回収する仕組みをつくらなくても、外国から簡単に廃プラが入手できるのです。

あらためるべきは、私たちの暮らし

外国から大量に廃プラが押し寄せる国で、プラスチックリサイクルが根付くかというと、その必要性すら理解されないでしょう。結局そのような国々から廃プラ海洋流出が起きています。
となれば、日本をはじめ「先進国」の廃プラ輸出圧力を減らさないといけないわけです。

※1 財務省貿易統計 普通貿易統計品別国別表 輸出より
http://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm 2019.6.27確認
※2 Plastic waste inputs from land into the ocean,Science,2015

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