第33話 持続可能な社会に近づいているの?

より少ない資源で成り立つ社会になりつつある?

今年(2018年)最初の投稿です。今年もぼちぼち書いていきますので、よろしくお願いします。
「持続可能な社会」の実現に向けて、様々な見方や指標があります。その1つとして、資源消費量の多寡(多い、少ない)もあると思います。これについて2つのグラフを作りましたので、見てください。

総物質投入量とGDP
上のグラフの赤い線が示すのは、環境省発行の白書各年度「わが国の物質フロー」※1から拾った日本国内での「総物質投入量(左軸)」です。海外からの製品や資源の輸入、国内資源、廃棄物などからの循環利用資源などの年間投入(利用)量など、1年間でどれだけの資源や物を使ったか、その総計です。2001年と直近のデータ(2014年)と比べると、わずか10数年で、3割近く減少しています。

もう一方の線は、国内総生産(実質GDP)を示しています※2。こちらは上記期間の前後を含めて、ゆっくりと増加しています。

経済成長の善し悪しは横に置きますが、より少ない資源で、より多くのモノを作り出すことができるようになっているのですから、「持続可能な社会」に近づいていると見ることができるかと思います。

国内で利用している資源の内訳を見ると

もう1つのグラフを見てください。こちらは日本国内で利用された資源の内訳※3をあらわしています。下から2番目の線(三角のマーカー付き)は「循環利用量」。国内で回収されたリサイクル資源の量です。約20年間、ゆっくりと増加しています。最も下の線は「廃棄物・最終処分量」。これは利用資源ではありませんが、比較のため掲載しています。リサイクル資源が増え、埋立処分されるごみの量が減っています。循環利用量の大部分は、建設廃棄物からの再生利用資源ですが、この2つの線を見る限り、「持続可能な社会」に近づいているように見えます。

日本の物質フロー・内訳推移

ますます輸入資源に頼る社会になっている

ただ、それで「めでたし。めでたし」で済むほど、単純な問題でもなさそうです。
赤い太い線は、海外からの資源輸入量をあらわしています。これも20年間にゆっくり増加しています。一方、はっきり減少しているのが国内資源の利用量。20年で半減しています。(他「エネルギー消費量」も増えていますが、これはグラフ中の「注」に書いているように、2005年以降、統計の対象が広くなっていることもあります。)

たしかにリサイクルが定着し、埋立ごみは減りました。「総物質投入量」も減っています。ですが、より多くの輸入資源に頼る社会になっています。このことにも目を向ける必要があると思います。

以上

以下はデータの出典

※1 各年度のデータの出典は以下の通り
平成26年度(2014年度)のデータ
平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h29/html/hj17020301.html

平成25年度(2013年度)のデータ
平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h28/html/hj16020302.html

平成24年度(2012年度)のデータ
平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h27/html/hj15020302.html

平成23年度(2011年度)のデータ
平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h26/pdf.html

平成22年度(2010年度)のデータ
平成25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h25/html/hj13020301.html

平成21年度(2009年度)のデータ
平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h24/html/hj12020301.html#n2_3_1_1

平成20年度(2008年度)のデータ
平成23年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h23/html/hj11020302.html#n2_3_2_1

平成19年度(2007年度)のデータ
平成22年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h22/html/hj10020302.html#n2_3_2_1

平成18年度(2006年度)のデータ
平成21年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h21/pdf.html

平成17年度(2005年度)のデータ
平成20年版 環境・循環型社会白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h20/html/hj08010201.html#n1_4_1_2

平成16年度(2004年度)のデータ
平成19年版 環境・循環型社会白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h19/html/hj07030402.html#3_4_2_1

平成15年度(2003年度)のデータ
平成18年版 環境・循環型社会白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/junkan/h18/html/jh0601010100.html#3_2_1_1

平成14年度(2002年度)のデータ
平成17年版 循環型社会白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/junkan/h17/html/jh0501010100.html#3_2_1_1

いずれも2018年1月8日確認

※2 内閣府ホーム > 統計情報・調査結果  > 国民経済計算(GDP統計)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html(グラフは実質GDP)
2018年1月8日確認

※3 ※1と同じ

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