1988年以降のプラごみ輸出データ
自分で言うのも変ですが、今回のグラフは労作です。財務省貿易統計から1988年以降のデータを入手し、2019年まで約30年間のプラスチックごみ輸出データをまとめました。
何が大変かって、品目も国名も全てコードで、単位も2種類あり、量と金額が同じ表に書き込まれています。そこから必要なデータを抜き出すのに時間がかかりました。そんなことはともかく、まずは1つ目のグラフ(図1)をご覧ください。
2000年頃からプラごみ輸出が拡大
図1を見ていただくと、リサイクルの仕組みが整い、機能し始めた頃から海外へのブラごみ輸出が拡大していることがわかります。容器包装リサイクル法(容リ法)は家庭から出るごみを対象にしていて、市町村が地域住民から分別収集した廃プラやPETボトルは国内リサイクルを原則にしています。
ただ、事業所や工場なども含めて、国内のリサイクル能力以上にプラスチックが消費され、多くの廃プラが集められ、2005年以降、最近まで毎年100万トン以上が海外に輸出されていました。
プラごみ排出量と海外輸出量のミックスグラフ
「グラフは語る16 近年プラごみが急増した国はどこ?」に、国内で発生するプラスチックごみの推移を示したグラフを掲載しました。そのグラフと図1を重ねました(図2)。棒グラフと折れ線グラフで単位が違うのでご注意ください。両者の増え方のカーブにご注目ください。日本では1960年代からプラスチックを多く使ってきましたが、1980年から2000年までの20年間だけでも、プラごみの排出量は3倍に増えました。様々な要因が考えられますが、この頃、シングルユース(使い捨て)プラスチックの増加もプラごみの増加要因として考えられま。2000年以降になると、容器包装リサイクル法の完全施行により国内のリサイクル体制が整い、プラごみの増加は止まりますが、その一方、プラごみの海外輸出が急拡大しています。
最大のプラごみ輸出先だった中国が2018年から輸入規制するようになり、日本国内のリサイクル市場が大混乱に陥りました。その後、マレーシアなどの東南アジア諸国が主要な輸出先になっていますが、いつまで受け入れてくれるのか…。
図2 プラごみ排出量と海外輸出量
情報がないままの環境活動、環境教育だったのでは
今回図2のグラフを作ってみて、私自身、排出の増加と海外輸出の増加に10数年のタイムラグがあることに気付きました。「リサイクル」はたしかに大切です。ただ、どのようなリサイクルが、どこで行われているか、情報は大切です。
ともあれ、「リサイクルは地球にやさしい」なんて美しい言葉の影で、使用済みプラスチックを「資源」と称して海外に輸出することが常態化していました。今後、コロナ後の社会では海外の人たちも感染症に敏感になるはずです。いつまで廃プラスチックの輸出を続けることができるのか考え直す必要があると思います。