発端は、フランスから届いたニュース
・しばらく記事更新をしていませんでした。4月に、大阪天満橋のきんき環境館に転職し、そこでESD(持続可能な開発のための教育)普及に取り組んでいました。一方で、もと所属していたNPO法人環境市民(事務局京都市中京区)を足場に、全国スーパーマーケット環境調査にも取り組んでいました。
・スーパーマーケット環境調査の実施を思いたったきっかけは、2022年1月フランスから届いた「青果物のプラ包装販売禁止が実施された」というニュースでした*1。すでにこの措置は、2019年に閣議決定した「循環経済法」で規定されていましたが「ほんまに、やるか」と思いました。
・あわせて、フランス・エネルギー移行省から「現在フランスの店頭では、37%の野菜・果物が包装されて販売されていると推測できる。今回の措置で年間10個以上のプラスチック包装が削減できる」といったコメントが出されました。「37%」がどこまで正確なのかわかりませんでしたが、「37%が包装されている、ということは63%は無包装販売(はだか売り)なの?」と思いました。
・では、日本の状況は?と思っても、コロナ禍もあり、近年の広域調査したデータは見つかりませんでした。
ならば、調べてみよう
・フランスは37%のプラ包装で問題にして、対策しようとしていますが、日本では誰も問題視しないし実態もわからない。ならば、と筆者が当時勤務していた京都市ごみ減量推進会議(ごみ減)の事業として、京都市内のスーパーマーケット店頭でのプラ包装調査を実施しました。今後プラスチックは社会のあらゆる場で少しずつ減っていくはずです。しかし「今この時」の使用実態を調べ、記録を残さないと、将来の削減成果を測ることができません。
・調査結果の詳細は、下記のごみ減のサイトで報告していますが、簡単に報告しますと、調査は、市民・学生約50人の参加を得て、京都市内62店で実施しました(市内全店の約4分の1)。青果物のうち10種を対象に、はだか売り率を調べた結果、商品点数比で17.9%。青果物売り場の棚面積で見た場合、25.7%という結果が出ました。他、省エネの取組をはじめ、多くの好事例を見つけることができました。
新たな疑問が湧いてきた
・京都市内でのスーパーマーケット環境調査は、大きな成果をあげたと思います。ですが、以下のような疑問が新たに浮かんできました。
・京都の調査結果は全国共通か
・全国には、もっと優れたプラ削減や省エネの好事例があるのではないか
・地方によりプラ包装の程度に差はないか
・疑問は徐々に大きくなり、2023年春以降、全国の市民団体や学生グループに、全国スーパーマーケット環境調査の実施を呼びかけました。
・調査の内容を紹介するYoutube動画も作成しました(冒頭に広告が入りますが、筆者らは、広告収入は一切受け取っていません)。
活動の足場づくり
・全国の団体への呼びかけに並行して、活動の足場と調査票づくりを進めました。前年の京都市内での調査は、前述の京都市ごみ減量推進会議の事業として進めましたが、「全国で実施」となると、活動範囲が京都市から大きくはみ出しますので、助成金の申請も含め、「活動の足場」を筆者が元事務局長を務めていたNPO法人環境市民に置き、京都大学浅利准教授、安藤助教(当時)、同志社大学原田准教授、大阪産業大学花嶋准教授などと、調査票づくりを進めました。
2023年調査の開始
・2023年9月までに募集に応じてくれた団体等は、40団体になり、北海道から沖縄県石垣市まで15都道府県の137店で調査を実施しました。
・調査票の説明と実施方法についても説明動画を作成しました。
・調査の結果については、報告その2でお知らせします(つづく)。
*1 ジェトロニュース 2022年1月10日配信ニュースhttps://www.jetro.go.jp/biznews/2021/10/8fb8d7bbd751ffa6.html
*2 フランスの循環経済法関連記事 堀孝弘環境資料館「使い捨てプラスチックの削減、世界はずっと先に!」