御礼 2025年調査の参加協力者1,000人超え
新年2回目の投稿です。昨年(2025年)の秋から冬にかけて実施した「お店のプラスチック調査2025」の結果概要を報告いたします。
一昨年(2024年)の調査では、2024年は約200人の協力を得て、全国のスーパーマーケット1,180店の青果物売り場のはだか売り(無包装販売)率として12.5%(棚面積比)というデータを得ました。
昨年(2025年)は、はだか売りが10%台前半しかない(=プラ包装が9割近くを占める)現状を、消費者はどう感じるか知ることを目的に、多くの人(特にこれまで環境活動にあまり関わりのなかった人)の参加を得ることを課題としました。
多くの人のご協力をいただき、市民・消費者392人、学生(高校生含む)662人、計1,054人の参加を得ることができました。11月以降、感想や意見等、アンケートだけの参加も可としましたが、ほとんどの人が店舗調査も含めて参加していただきました。この記事を読んでくださっている人のなかにも、ご自身の参加だけでなく、まわりの人に参加の働きかけをしてくださった人もあると思います。ありがとうございます。
結果をまとめた表を3つ掲載します。そこから見えた特徴的なことをお伝えします。
スーパー青果物売り場のはだか売り率調査、今回は何%?
下の表に示す通り、市民・消費者全体のはだか売り率は19.9%と、前年から7%以上高いデータが出ました。ただ1年でこれだけはだか売りが増える(プラ包装が減る)ことは考えにくいので、今回初めて調査に参加した人(266人)と、前年から継続して参加した人(83人)を分けて集計したところ(他、いずれか不明が43人=大半が初参加者と思われます)、初参加者のはだか売り率平均は24.1%、前年からの継続参加者は12.2%(不明者は22.8%)と、大きな差があることがわかりました。この継続参加者の12.2%は、前年の12.5%とほぼ大差のない調査結果でした(表の下につづく)。
調査データに大きな差が出た要因として考えられること
今回の初参加者のデータは全体的に高めだったというより、「はだか売り率41%以上」と回答した人が、初参加者の2割近く(19.0%)を占め、継続参加者の2.3%より多く、そのことで全体のデータが高めになったと考えます。
はだか売りが4割以上を占める店は全国でもごく稀で、実際よりもはだか売りを多め(プラ包装少なめ)に報告した人が、継続参加者よりも初参加者の方がかなり多かったようです。
その要因として、調査方法の説明不足が考えられます。今回(2025年)の調査では、「青果物売り場全体を見渡して、はだか売り(無包装販売)の野菜・果物が占める棚面積はどれぐらいですか」という質問をしました。前年(2024年)の調査は、売り場全体のはだか売り率だけでなく、5種の青果の品数を数えてもらうなど、葉物野菜や果物も含めて青果物売り場全体を見てまわる必要がありました。
前年(2024年)からの継続参加者の多くは、今回も同じように売り場全体を見てもらったと思います。一方、今回(2025年)初参加者のなかに、店頭など、比較的はだか売りの多い棚を見て、割合を判断した人もあったのではないかと思います。
ただ、初参加者の中で複数店舗を調べた人の中に、最初の店舗で高いはだか売り率を選択しても、後にいくほど10%前後の(落ち着いた)数字を選択する人もありました。また、2025年の初参加者のなかにも、プラ問題だけでなく、食品ロス削減や再生可能エネルギー普及などで活動している人もいて、継続参加者に近い調査報告をしてくれた人も多くありました。
市民・消費者の「意見・感想」から
意見・感想の回答をみていきますと、「プラ包装を多いと感じるか」の問いには、大半の人が「とても多い」「多い」と返答していますが、「ちょうどよいと感じる」と答えた人は、市民・消費者全体で17.1%ありました。これも初参加者と継続参加者で分けると、前者は20.8%、後者は4.8%(不明の人の平均は16.3%)とここでも大きな差がありました。
減らす必要性についても「減らす必要はないと感じる」は、全体で12.5%、初参加者は14.7%、継続参加者は6.0%(不明の人11.6%)でした。
プラ問題への関心を問う質問には、「もともと関心があり、調査に参加したが関心は高まっていない」は、全体14.3%、初参加者15.5%、継続参加者10.9%(不明の人14.0%)で、「この調査で関心を持った」は、全体20.2%、初参加者25.0%、継続参加者2.4%(不明の人25.6%)でした。
今回の調査で初めて参加した人から、プラ包装を「ちょうどよい」「減らす必要はない」「関心は高まっていない」という回答が比較的多く返ってきました。前述のように、これまでプラ問題に関わりを持っていた人以外にも参加の働きかけをしましたので、率直な思いを返してくれた人が多かったと思います。その一方、初参加者の中から、「新たに関心を持った」という人を多く創出することに寄与できたと思います。
自由回答について、「プラ包装は必要」「買う時、保存する時など、プラ包装がないと不便」「プラ包装削減ではなく、プラごみの適正処理こそ課題」などの声が、初参加者、継続参加者問わず出ていることもお伝えします。
東西のはだか売り率の差について
2024年、2023年の調査で、「はだか売りは東日本の方が多い」という傾向が見えました。2025年の調査は、上記のように店舗調査より、調査者の意見・感想に重きを置きましたが、それでも東西日本で比較すると、全体でも(東21.4%、西18.3%)、初参加者でも(東25.6%、西22.6%)、継続参加者でも(東12.9%、西11.3%)、また調査件数の多い関東と近畿で比べても、前者は22,3%、後者は19.7%と、いずれの分け方で集計しても、東日本の方が、西日本よりはだか売り率が高い調査結果が出ました。
ちなみに、2024年の調査では、5種の野菜・果物のはだか売り率もいずれも東日本の方が高い結果が出ました。この調査から理由まで推し量ることはできませんが、何度、どのような集計をしても、「東日本の方が西日本よりはだか売りが多い」という結果が出たことを報告いたします。
学生の調査まとめ
参加者数と区分
学生からは、662人の参加を得ることができました。うち、担当教員さんから調査を「課題」として出してもらった場合の参加が最も多く406人、自発的に参加してくれた学生が100人、出講講義による情報提供を受けたうえで参加してくれた学生が113人、山梨県のガールスカウトさん(GS)の参加が43人(道の駅などの調査を除く。意見・感想の質問項目が違うので、その点は除外)に分けて集計しました。学生の場合、こちらで把握する限り、全員が初参加で、かつ全員が1店舗のみ調べてくれました。
学生調査のはだか売り率について
青果物売り場のはだか売り率は、全体的に市民・消費者より高めで全体平均が21.1%、「課題として参加」が23.1%、「自発参加」が19.3%、「講義を受けた参加」が17.9%と徐々に低くなっていますが、山梨GSが9.5%と大きな差がありました。山梨GSの調査は、7種の野菜のはだか売りの有無を調べるなど、売り場全体を見てまわる必要があったこと、小規模なスーパーも含めて地域全体を対象としたことなど、より実態に近いデータが得られているものと思います。
この点、今回の全国調査と別に、京都市の北部と西部で行なった全店調査(148店)でも、はだか売り率平均が8.3%と山梨GSの調査と近い数字が得られています。この場合、コンビニとの中間的な小規模スーパー(ニッチ的スーパー)も全店対象として得られたデータですので、より地域実態に近いものと思います。
全体的に大学生は、はだか売りを多めに見ていることがわかりました。裏返すと「プラ包装を少なめに見ている(見えている)」といえます。これを自炊学生、自宅生、外食依存の多い学生など、生活パターンの違いから、ふだんの買い物で生鮮食品売り場をどこまで見ているかによって、分けた集計ができれば、今後の様々な課題がより明らかになるように思います。
学生の意見・感想から
一つ大きな特徴として、「この調査に参加して関心を持つようになった」と答えた学生が、全体で60.4%あったことをあげたいと思います。内訳は「課題として参加」が66,7%、「自発参加」が41.0%、「講義参加」が54.9%でした。「課題として参加」した学生の中には、「課題なので仕方なく」参加した人もあるかもしれませんが、3分の2の学生が「この調査で関心を持つようになった」と答えたことに注目したいと思います。この点前述のように市民・消費者は20.2%でしたので、新たな関心者の創出という点で、3倍の効果がありました(もちろん、ええカッコして書いている学生も多いと思いますが、それは市民・消費者も同じです)。このことは、大学生の多くがプラ問題について、知っていても関心を持つまでには至ってないことを表していると思います。今回のような「調査とセットとなった活動」が彼らの関心喚起に有効だったことが見えたと思います。
全体を通して(堀の感想・思い)
環境活動に限らず、社会活動や啓発において、「これまであまり関心を持っていなかった人」に働きかけ、関心を引き出すことは大きな課題です。市民・消費者への働きかけという点で、今回の調査は大きな成果が得られました。ですが、そういった「新しい人」への働きかけはとても大きな労力を必要とします。調査会社に依頼して「ネットアンケート」で多くの回答を得るという手法もありますが、意識調査だけでなく、「行動変容のための働きかけ」に重きを置きたい思いがあり、安易にネットアンケートに頼りたくありませんでした。その点、学生の場合、教員さんの協力が得られた場合、多くの人とつながることができ、かつ「新たな関心」を引き出せる可能性が高いことが明らかになりました。
今回の調査では、自由回答の記述などから、中高年層など大人たちの中に、プラ包装を減らすことを「不便」「ガマン・辛抱」と結びつけて考える人や、減らすことでのマイナス面を強調する人が多いことも感じました。今の流通のあり方、買い方を前提に考えると、削減できるプラ包装は限られているでしょうし、いきなり大幅削減を行えば、大きな混乱が生じるのは当然です。
ただ、プラスチック対策では日本より世界の動きの方が早く、新たな規制や技術革新が次々生まれています。大学生をはじめ若者たちは、そんな社会をこれから半世紀以上生きていきます。そういった長期的な視野で考えることも必要で、大人たちの責任として、未来ある人たちが自分たちの生きる社会のあり方を考える材料(情報)や、機会を創出する必要があると考えます。
新たな流通や販売方法、買い方に切り替えていく過程で、さまざまな困難が生じることと思います。ですが逆に、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。次の世代には、そういった新たなビジネスチャンスを見つけ活かしてもらいたいと思います。そのためには、前述のように「プラ問題について、知っていても関心を持つまでには至ってない人たち」への働きかけが今まさに必要だと思うのです。
今年度(2026年度)、大学に入学する人たちが卒業する時、2030年になります。日本政府は「2030年に(2019年比で)ワンウェイプラスチックを累積で25%排出抑制する」という目標を立てていて、その目標年にあたります。この点ではあまり多くの時間はありません。ですが、その具体的な道筋や社会の機運の盛り上がりが見えません。この調査の成果を、社会の機運の盛り上げや関心喚起に役立てたいと思います。
今年度も新たな活動を考えています。それはまた別の機会にお知らせしたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。


