第7話「コンビニは現在何店あるの? 24時間営業は儲かるの?」

わが家の近くにコンビニが開店した

日本中、どんな田舎に行っても、必ずあるコンビニエンスストア(以下、コンビニ)。「必ず」と言いきりましたが、実は私の家の周囲500m以内にコンビニはありませんでした。コンビニより阪急の駅の方が近いという変わった地域だったのです。やたら過去形で書いていますが、今年(2016年)7月末、家から100mほどのところにコンピニが開店しました。久しぶりに実家に帰ってきた娘は、真夜中でも煌々と輝く看板を見て、「ええ〜!ついにコンビニがある地域になった〜」と大声をあげて驚いていました。
堀家飼い犬シロも、散歩コースの変化に驚きを隠せませんでした。

人通りがなくても24時間終日営業

自宅最寄り駅は、阪急で最も乗降客の少ない駅。昼でも人通りがほとんどないのに、阪急の最終電車が出た後、付近の人通りはほぼ皆無。幹線道路を走る自動車もほぼなくなります。それでも、新たに開店したコンビニは24時間終日営業です。
いよいよここから本題です。国内にコンビニはどれだけあり、そのうち終日営業の店がどれだけを占めるのか、また24時間、店を開けて営業した方がより多くの利益が得られるのでしょうか。
コンビニの統計データとして、比較的簡単に入手できるものとして、経済産業省の「商業統計、業態別統計編・小売業」と日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンスストア統計データ」があります。これらのデータから読み解いていきましょう。まず、前者の統計から終日営業のコンビニの割合を見ることにします。

終日営業のコンビニは、86%

経済産業省の「商業統計、業態別統計編・小売業(以下、商業統計)」※1は毎年の調査はなされていません。また、最新の調査は総務省と共同で実施することになり、調査方法が変更されたため、店舗数が減少しています。実際には増えているのですが、そのことは横に置いて、終日営業の店舗の割合を見てください。調査ごとに高まり、最近の調査では86%に達しています。86%は7分の6にあたります。「ほとんど」と言っても良いでしょう。20年前は、終日営業のコンビニは、全店の半分以下でした。
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終日営業が、儲かっているか否や?

これだけ終日営業のコンビニが増えると、終日営業が「当たり前」という感じになりますが、終日営業の店は儲かっているのでしょうか。以下の表は、商業統計の平成19年度版と26年度版から、営業時間および従業員数別に売上(商業統計では商品販売額と表記)を記したものです※2。
あくまで概数ですが、いずれの年度も、1店当り売上では、終日営業が高い額を示しています(各従業員規模で最上位を水色で着色しています)。営業時間が長いので当然と言えば当然です。しかし、1時間当りの売上では、営業時間が「16時間以上18時間未満」の店が最も高い額を示しました(各従業員規模で最上位を黄色で着色しています)。また、調査の中で最も営業時間が短い「14時間以上16時間未満」の健闘も目につきます。

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「消費者ニーズ」なのか

東日本大震災の後、省エネの観点からコンビニの終日営業が問題視されました。それに対して、業界団体から様々な反論がでましたが、そもそも時間当り売上額から見ると、終日営業は決して効率の良いものではありません。終日営業が珍しかった頃は、集客力もあったでしょうが、今や珍しくなくなり、少ないパイの奪い合いになっているものと思われます。
ただ、営業時間の長さで全体額を稼ぐか、営業時間を限って時間当り売上単価を高めるか、この選択は難しいところだと思いますが、表中、終日営業の従業員「2人以下」や「3〜4人」規模の店の健闘が気になります。開店資金の借り入れを返そうと、家族経営でがんばっている姿が浮かびます。一方、ある程度規模のあるコンビニは、営業時間を限って、その中でしっかり稼いでいるように見えます。
これだけ終日営業の店の割合が高いのは、コンビニチェーン本部の意向も反映していると思われます。時間当り売上額が下がっても終日営業を選択せざるを得ない事情が、フランチャイズ契約のコンビニオーナーにはあるのでしょう。しかし、従業員2人や3人で終日営業を続けていくことは、健康面を考えても持続可能とは思えません。
また、消費者の目から見ても、7店中6店も終日営業していないと不便で困るということはありません。よく「消費者ニーズ」という言葉で何事も説明しようとする人がいますが、売上の実態を見ると、すでに消費者ニーズを越えたコンビニ各チェーンの生き残りをかけたチキンレースがあり、そこに零細コンビニの経営者が巻き込まれ、抜け出せずに身を粉にしてがんばっている姿を感じます。

今や5万店ある

さて、次は現在国内にコンビニが何店あるのか、見ることにしましょう。前出の商業統計は、調査方法の変更で最新のデータは店舗数が大きく減っていますが、生活実感からはかけ離れています。一方、日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンスストア統計データ※3」では店舗数は年々確実に増えています。これを見て、おもわず「そうだろ。そのはずだ。」と頷きました。
この統計によれば、2015年12月現在のコンビニの総店舗数は、53,544店。総売上は10兆円を越えています。ただし、これも日本フランチャイズチェーン加盟11社のコンビニの店舗数ですので、この他にも若干店舗があると思われます。

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総店舗数や終日営業の割合の拡大が、コンビニ業界の成長を支えている

今もって、きれいな右肩上がりの成長を続けるコンビニ業界ですが、次のグラフを見ると、少し見方が変わります。1店舗当りの売上や客単価を見ると、先のグラフのようなきれいな右肩上がりはしていません。総店舗数や終日営業の割合の拡大が、総売上の「右肩上がり」を支えていると言えます。

ここまでに「時間当り売上額から見ると、終日営業は決して効率の良いものには見えません。」と述べました。しかも「零細店が終日営業で身を粉にしている」とも述べました。ただし、本稿で紹介したのは、コンビニの実際の姿のごく一端です。一度「消費者ニーズ」という先入観をはずして、実態を知り、私たちの暮らしに何がどれだけ必要なのか考える必要があると思います。

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今回のポイント

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※1 経済産業省「商業統計、業態別統計編・小売業」
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-2.html

※2 「商業統計、業態別統計編・小売業」をもとに、1店当りの年間売上額や、1時間当りの売上額を算出しました。1時間当り売上額は、営業時間を単純に平均しているので(例えば、「14時間以上16時間未満」は15時間)、表の数字は概数です。

※3 日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計データ、コンビニエンスストア統計時系列データ」
http://www.jfa-fc.or.jp/particle/320.html

URLは、いずれも2016年9月24日確認

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