第10話「ペットボトル緑茶の増加は,消費者ニーズ? 創り出された需要?」

「リーフ茶サイト」の開設

前回の投稿の翌日、職場で長机に乗って作業中、転落事故を起こし、頭を強打しました。以降眼の腫れが引かず、少々視力に障害が残っています。そのためもあり、なかなか投稿ができませんでした。それでも仕事は穴を空けないよう続けています。
この間に取り組んだ仕事の1つが、以下に紹介する「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーンサイト(以下、「リーフ茶サイト」)」の開設です。

わざわざ「リーフ茶」と表現するのは…

「リーフ茶サイト」は、京都市ごみ減量推進会議が企画・運営するサイトとして開設しました。リーフ茶というのは、茶葉から淹れたお茶のことで、わざわざ「リーフ茶」などと呼ぶこともない「当たり前のお茶」のことです。
ですが近年、ペットボトル入り緑茶が広まり、「お茶の淹れ方を知らない」や、「長いこと、ペットボトル緑茶しか飲んでいない」という人も見かけるようになりました。そのため、ペットボトル緑茶との違いを強調するため、「リーフ茶」などともったいぶった表現をしています。

どうしてペットボトルを減らそうなの?

さて、緑茶は単なる飲料にとどまらず、日本人の暮らしを支え、文化にも大きな影響を与えてきました。また、京都府をはじめ、幾つかの地方の大事な地場産業でもあります。そんな緑茶を大切にしたいという思いが出発点ではありますが、「リーフ茶の普及」だけでなく、「ペットボトルを減らそう」もプロジェクト名に掲げています。
ペットボトルは軽くて割れず、飲料容器としてとても便利なものです。それを、なぜ減らそうというのでしょう。その理由については、「リーフ茶サイト」内の「どうしてペットボトルを減らそうなの?」に、以下の内容で述べています。

  • 消費の増加と後追いリサイクル
  • 今も放置ペットボトルがいっぱい
  • 海外に頼ったリサイクル
  • 自治体費用の増大
  • 地球温暖化への影響

「リーフ茶サイト」に書ききれなかったこともある

上記の「どうしてペットボトルを減らそうなの?」には、ペットボトルリサイクルの問題や飲料(液体)の長距離輸送による環境負荷などを記しています。ただ、ここに想いをすべて書けたかというと、そうではありません。長年環境活動を続けてきた者として、まだ他に思うところや考えがあります。
特に,ペットボトル緑茶の前身である缶入り緑茶の登場当時を振り返り,消費者ニーズと需要創造について,今回のブログ(第10話)と次回の2回に分けて考えを述べたいと思います。

ワンウェイ容器入り緑茶飲料は、消費者ニーズ?

今の社会のあり様として「大量生産、大量消費、大量廃棄」と形容されることがあります。この言葉をもう少し掘り下げて、「大量生産」を促しているものは何が考えるとき、「それは消費者ニーズだ」という人がいます。「消費者が求めるからメーカーは商品化し販売しているのだ」と。
ペットボトルや缶など、ワンウェイ容器入り緑茶飲料の場合はどうなのか、時間をさかのぼって振り返りましょう。ワンウェイ容器入り緑茶飲料の初の商品は、1985年に伊藤園から発売された「缶入り煎茶」でした(後に「お~いお茶」と改名)。当時は缶入りで1本100円でした。この時、私はすでに社会人で、それなりに収入もありましたが、「お茶が1本100円もするの!そんな高いもの買える人っているの?そんな金持ちになってみたいな〜」と感じたのをはっきりと覚えています。当時は環境問題にもごみ問題にも特に関心を持っていなかった若者の率直な思いでした。
当時を知る、私と同年代以上の人に、機会あるごとにその当時感じたことを尋ねていますが、だいたい私と同じような答えが返ってきます。実際に緑茶飲料は当時よく売れたわけでなく、ワンウェイ容器入り緑茶飲料が「消費者ニーズにより生まれた」とは、とても言えないと思います。

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需要創造の成功例

ただ飲料メーカーも諦めずに新製品を投入し続け、かつ繰り返しテレビでCMを流しました。500mlの小型ペットボトルが登場した1996年以降、大きく売上を伸ばし、1996年から2005年までの10年で緑茶飲料の消費は、5.5倍も増えました。
同じようなことはミネラルウォーターにも言えます。最初の家庭向けミネラルウォーターのさきがけは、1983年発売の「六甲のおいしい水(ハウス食品)」でした(当時は紙パック)。ただこの商品に限らず、家庭向けミネラルウォーターも、売上が伸びたのは10年以上後の1990年代後半以降のことです。これも「消費者ニーズによって市場に登場した」とは、とても言えません。

「消費者ニーズにより生まれた」のではないなら、何によって生まれ、売上を伸ばしたのでしょう。それは「需要創造」ではないでしょうか。商品を作り、送り出す側の要求によって生み出され、掘り起こされた需要のことです。ワンウェイ容器入り緑茶飲料も、家庭向けミネラルウォーターも、この「需要創造」の典型的な成功例と言えます。グラフを見ていただくと、この2つの商品種が他を抜きん出て伸張しているのがわかります。

需要創造の陰で失われたものもある

ビジネスとしての成功ですので讃えられるべきですが、その陰で失われたものや、新たに生まれた問題も考える必要があります。冒頭に書いた「お茶の淹れ方を知らない人の出現」もその1つですが、他にも多くの問題が生まれています。「消費の増加と後追いリサイクル」や「放置ペットボトルの多さ」「海外に頼ったリサイクル」など様々な問題があり、このことについては、「リーフ茶サイト」内に記していますので、そちらをお読みください。
ビジネスで成功した人たちがいる一方、社会に様々なツケがまわされています。次回、「自治体費用の増大」を軸に、「外部性」という切り口で掘り下げるとともに、繰り返される「需要創造」とどうつきあうか、考えたいと思います。

 

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