第15話 冬野菜の変化❗

代表的な冬野菜の利用の変化を見ると

東京都中央卸売市場への野菜の入荷量の、月ごとの変化から、季節感のなくなった私たちの暮らしの一端を浮き彫りにしてきました。前回(第14話)は、「冬にも出回るようになった夏野菜」を取り上げましたが、今回は冬野菜を取り上げます。
今回も、1月から12月までの毎月の入荷量を、1970年は青の実線で、1990年は黒い破線、2010年は赤い破線、2015年は緑の実線であらわしています。入荷量の変化は、ほぼ消費の変化を反映していると考えられます。
まずは、ほうれんそう、はくさい、さといもから。(図はいずれもクリックすると大きくなります。)

1ほうれんそう旬(月ごと)

2はくさい旬(月ごと)

3さといも旬(月ごと)

すごい減り方

ほうれんそう、はくさい、さといもは凄まじいほどに利用が減っています。ほうれんそうの落ち込みは、ポパイを見 て育った私にはショックです。ほうれんそうは、夏でも収穫できる品種の導入などもあり、夏にも出回るようになりましたが、逆に本来の旬の消費が大きく落ち込んでいます。はくさいについては、暖冬の影響や、世帯人数の減少で、鍋を囲むことが少なくなったとか、様々な理由をあげる人がいますし、さといもには、皮むきの大変さがあります。いずれにしても、冬野菜の利用が大きく減っています。
同じ統計をもとに別の角度から見ていきます。前回と同じく、季節ごとに入荷量をまとめました。冬は青、春は緑、夏は赤、秋は黄色で、棒グラフによって表現し、年間入荷量を折れ線グラフであらわし,かつ5年ごとの変化をグラフ化しました。季節間の入荷量の差が少なくなるとともに、全体の入荷(消費)も減っていることがわかります。

11ほうれんそう(季節ごと)

12はくさい旬(季節ごと)

13さといも旬(季節ごと)

春、秋が旬の野菜をみると

「冬野菜」に限らず、春、秋が旬の野菜にも目を向けてみます。だいこん、ねぎ、にんじん、たまねぎなどを見ますと、「減っていない」というには微妙ですが、ほうれんそう、はくさい、さといもほどの落ち込みはしていません。
また、これらの作物は、もともと旬以外にも栽培・出荷されていました。堆肥の発酵熱を利用した促成栽培や藁がけ、長い日本列島の地形を活かした、産地と出荷時期の分散など様々な工夫があります。この点は、前回紹介した「施設栽培比率の高い野菜(トマト、きゅうり、ピーマンなど)」との違いです。「季節外れの野菜」だからといって、施設栽培(ハウス栽培やガラス室栽培)ばかりとは限りません。

4だいこん旬(月ごと)

5ねぎ旬(月ごと)

6にんじん旬(月ごと)

9たまねぎ旬(月ごと)

大きく利用を増やした作物もある

野菜離れといっても、減っている野菜だけではなく、増えている作物もあります。ブロッコリーは海外からの輸入拡大、レタスやキャベツ(図なし)は産地と出荷時期の分散などで通年出荷を可能にしています。
7ブロッコリー旬(月ごと)

8レタス旬(月ごと)

旬の作物の利用はエコというけれど

よく「旬の食材の利用はエコロジー」といわれ、環境教育でも「野菜の旬あてゲーム」などが行われています。しかし、何がどのように変わってきたか、具体的に伝える資料をほとんど見かけません。個人の趣向やライフスタイルの変化などはあるでしょうが、冬は冬野菜。特に最初に紹介した減り方のはげしい野菜たちを応援したいものです。

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