第29話 中国青島市訪問報告その1「まちの美しさ」

中国青島市に招かれ行ってきました。

10月19日から22日にかけて、中国山東省青島市と龍谷大学の共同研究事業に参加する機会を得、青島市を訪ねました。3泊4日でしたが、多くの事物に触れ、知る機会を得ました。
青島市では、都市管理局、環境政策局、科学研究院から、中国および青島市の廃棄物政策の現状や課題について説明を受けるとともに、現地施設の視察をしました。
また、同行した京都市、京エコロジーセンター職員及び私からもプレゼンを行い、互いの課題についての交流・懇談を行いました。
中国青島市で感じたこと、得た情報等、何回かに分けて発信したいと思います。まずは訪問目的とは違いますが、「まちの美しさ」から。
今後の予告ですが、「スケールの大きさ」「中間層の成長」「制度整備のスピード」「ごみ輸入禁止に向かう中国」などを予定しています。

青島市の都市景観から受けた驚き

青島市(日本ではチンタオと呼びますが、現地名はチンダオQingdao)は、ご存知のように19世紀末、ドイツの租借地として開かれたまちです。それ以前は小さな漁村で、現地の人が「中国の歴史は5,000年。青島の歴史は100年」というように新しいまちです。
入植当時のドイツ人は、将来人口を20〜30万人と想定して都市計画を立てたそうです。当時としては壮大な計画でしたが、現在の青島市の人口は約900万人。中心市街地だけでも200万人の大都市に成長しています。最近20〜30年で人口も経済も急成長したとのことです。
青島市で感じたことの最初に「まちの美しさ」をあげましたが、まず写真1を見てください。青島市に着いた初日(10月19日)の夕方、市内の公園から市街を見下ろした光景です。筆者自身の経験ですが、23年前、初めてヨーロッパに行き、ドイツのフライブルク市の丘の上から市街地を見た時と同じことを感じました。「建物の高さ、屋根や壁の色に統一性があると、まちはこんなに美しくなるのか」と。

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まちの観光名所の紹介も

写真2は逆光だったため、うまく撮れていませんが、真ん中の小高い丘付近は、ドイツ人が開いた旧市街地です。写真3はその丘の上に建つ教会で、100年前の創建時の姿を残しています。写真4はかつてのドイツ総督府です。

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公園から見た光景に戻ります。写真5は写真1の右側の景色で、浜辺が見えます。市街地のすぐ近くで、港も近くにありますが、水質はよく、夏は海水浴客で賑わうそうです。
写真6に写る三角屋根の高層ビルは、写真5と同じ建物。方向が逆ですので、かなり移動しました。美しい海岸はまだ続き、砂浜だけでなく岩礁もあり、この写真を撮った場所から夕陽がきれいに見えました。付近は結婚式の前撮り写真を撮るカップルが多く、この日わずか数時間で20組ほどに出会いました。
ドイツ人が築いた旧市街の中に、Badaguan(八大関)美観区と呼ばれる景観保護地区があります。ここには、ドイツだけでなく、イギリス様式、フランス様式など様々な様式の建築物が200軒ほどあり、建築の万国博覧会とも呼ばれています。

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ここからは「観光ガイド」が書かないこと

ここまで観光ガイドのような紹介をしました。青島市の旧市街の美しさや建築に関しては、すでに多くの紹介記事やブログがあり、ネットでも見つけることができますので、ぜひ、それらを見てください。
わずかな滞在期間で、しかも自由時間が限られるため、まちの全てを見たわけではありませんが、朝できるだけ早く起き、1〜2時間宿泊先のホテル周辺を歩きました。ホテルは中心部から少し離れたところにあり、付近には6〜7階建ての中低層住宅が多く建っていました。かなり路地裏まで歩きましたが、1〜2時間歩いても、電柱を見かけませんでした。空を覆う電線も(写真9など)。
環境施設の視察で、観光客が行くことのない郊外まで連れて行ってもらい、郊外の農村部で、ようやく電柱・電線を見ました。しかし、都市部には電柱・電線がなく、まちなみに統一感がありました。路地裏まで歩いたので、「美しくないところ」も見ましたが、それもまちの活気に思えました。

2017.10青島市まちなみ33写真9

日本と比べると

比較のため、京都市のメインストリート四条通の写真を載せます。場所は京都市の中心繁華街を少しはずれたところです。付近には訪日観光客向けに新しいホテルが最近何棟か建ちました。狭い歩道、統一感のない建物群、電柱・電線。我々には当り前の景色です。こういった景色が当り前の国で育ったため、23年前ヨーロッパの都市景観を見てショックを受けました。それと同じショックを中国で感じました。「社会主義国だから、強制的に景観の統一ができるのだ」と思う人もあるでしょうが、それではヨーロッパの都市景観の説明ができません。
筆者は幼児の頃、京都市街地のデパートの屋上から、瓦屋根が続く京都のまちなみを見た記憶がかすかにあります。今同じ場所から眺めても景観などあったものではありません。先進国になる過程で、大切な価値を打ち捨ててきたのではないかと思います。
青島の景観を見て、日本に来た外国人観光客は,日本の都市景観をどのように感じているのだろうと思いました。日本との比較が今回の主題ではないので、深入はやめますが、日本にも日本の良さがある一方、アジアの国々や中国にもそれぞれの良さがあります。アジアの国々や中国の良さを知らないまま,「日本の良さ」をアピールしてきたのではないかと感じました。
日本四条通りの景色京都市街地

一度方針を出したら、動きが早く、徹底する国

もうひとつ強く感じたのは、緑の多さです。郊外から市街地、どこに行っても、どこまで行っても緑の多さを感じました。これは青島市に限ったことではなく、中国全体で見られることです。国内の緑化については「社会主義国だから…」という理由もあります。中央政府が方針を出し、地方政府が競って緑化を進めた結果でもあります。乾燥地帯だけでなく、都市でも緑化が推進されましたが、その成果は、日本の環境省のウェブサイトを見てもわかります。図1を見ると、2000年から2010年にかけて、世界で緑地が増えた国の中で、中国は飛び抜けています。
このことを最後に紹介したのは理由があります。善し悪しは別にして、中国は中央政府が方針を打ち出したら、何事も早い。しかも徹底している。それが他の環境施策にもあらわれています。今回の訪問目的である「ごみ減量」についても同様なのです。(つづく)

森林面積変化の大きかった国図1

※日本国環境省のWEBサイト「世界の森林を守るために」より
https://www.env.go.jp/nature/shinrin/index_1_2.html

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