第35話 紙コップのコーヒーって、おいしいの?

「サードウェーブコーヒー」ってご存知?

「サードウェブコーヒー」って、なんかカッコいい響きがありますね。スターバックスやドトール,タリーズなど大手コーヒーチェーンへの反発として、良質の豆,生産地の環境や生産者の暮らしに配慮し,焙煎も挽き方も自店の流儀でやる,そんなこだわったコーヒーのムーブメントです。今世紀初めにアメリカ西海岸から始まり,2010年頃東京に伝わりました。
その 「サードウェブコーヒー」の旗手ともいえる「ブルーボトルコーヒー」の関西一号店が,3月23日に京都南禅寺の近くにオープンします。( すでに 世界に約50店舗展開しています)

なぜ、使い捨てカップなのよ?

そんな高い理念をもってコーヒーを提供するブルーボトルコーヒーですが、主に紙コップでコーヒーを提供しています。すでに東京で開店している店では、店内利用者にはマグカップでも提供しているようで、この点はスターバックスと同じようです。ですが、東京の店舗利用者が書いた記事の中に、「注文時に、店内用のカップで…というと、いい対応をしてもらえなかった」と書いたものもあります(https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131303/13177218/dtlrvwlst/B138440166/)。
この記事が正しければ、この点は「スタバ以下」に思えます。筆者の経験では、かつてはスタバでも注文時に「マグカップでください」というと、煩わしそうな対応をされることがしばしばでした。ですが、今では少なくとも京都市内では、どの店も笑顔で対応してくれるようになりました。
また上記の記事には「店内の客のほとんどは紙カップ利用だった」旨書かれていますが、この点はスタバと同じですね。前述のようにスタバは、注文時にいえば、ドリップコーヒーなど数点の商品は、マグカップで提供してくれます。ただし、そのことを案内する掲示を注文カウンターで見たことがありません。

使い捨てカップは地元への負担の押しつけ

ブルーボトルコーヒーに話を戻します。ブルーボトルコーヒーではテイクアウトもでき,プラ製のフタが用意されるようです。 豆にこだわり,淹れ方にこだわり,店の雰囲気にこだわるのに,なぜ器は安っぽい使い捨て容器なのかと思います。
400数十年前に生まれた茶道を持ち出すと反発する人もあるかもしれませんが、千利休は器にこだわり、樂焼が生まれ、茶人と陶芸家、さらには茶農家が切磋琢磨して、茶を文化として発展させてきました。背景には一期一会の客へのもてなしの思いがあり、どのような器を用いるかは客への茶人の思いの表現でもありました。
この点について異なる思いの人もあるでしょうしここまでにして、使い捨て容器でのテイクアウトとなれば,町内や行政にごみを押し付けることになります。場所は京都有数の観光地。地元の負担も大きいことでしょう。京都市内にはごみ減量のため様々な活動に取り組んでいる団体が幾つもあります。私が働いている団体もその1つですし、店の近くにも地域住民でつくる地域ごみ減量推進会議があります。他にも祇園祭での使い捨て容器の使用を減らそうとがんばっている団体もありますし、飲料容器以外でも、様々なごみをターゲットに削減に取り組んでいる団体があります。使い捨て容器を用い、店外にも持ち出させる店の増加は、こういった市民の活動に逆行するものです。

「紙コップ」は、紙だけでできていない

ついでながら「紙コップ」は、紙だけでできているのではありません。内側はプラスチックフィルム(ポリエチレン)がコーティングされています。リサイクルするためには、このコーティングされたフィルムをはがす必要があります。牛乳パックと同じで技術的にフィルムの剥離は可能ですが、他の紙に混ぜてリサイクルに出すことはできません。
また仮に放置された場合、薄いフィルムは分解されずに残り、排水溝から川へと流出すれば、長い時間を経て海ごみになります。

日本の客には「第2、第3のスタバ」

東京のブルーボトルコーヒー の利用者の記事をみると、日本の客には「第2、第3のスタバ」と見られているように感じます。これはブルーボトルコーヒー にとって、とても不幸なことに思います。
昨年9月には、ネスレ社がブルーボトルコーヒー を買収するというニュースが流れました。(サードウェーブコーヒーの終わり2017.9.15)すでに世界に50店も出店し、創業時の理念や豆の品質、扱い、店舗運営、これらを全店の隅々まで浸透させることができていたのだろうか、と思います。思いはあっても、客に伝わっていなかったことがブルーボトルコーヒーの弱点だったのかもしれません。
それにしても、サードウェーブコーヒーの旗手と紹介したブルーボトルコーヒーが、インスタントコーヒー(ファーストウェーブ)大手のネスレに買収されるとはなんとも皮肉な話です。

地域の声に耳を傾ける企業に

ブルーボトルコーヒー のWEBを見ると,「今回は、京都の歴史や伝統的な文化の継承及び発展に貢献したいという願いを込めて、チャリティ活動を実施いたします。「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」のオープンを記念したオリジナルピンバッジ2種をセット販売し、その売上金は全額、京都が取り組むさまざまな保全・継承プロジェクトに役立てられます。」と記されています。「保全」とは何なのか、企業サイドだけで決めず、ぜひ地域の声に耳を傾け、「実」のあるものにしていただきたいと思います。

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