ペットボトル緑茶の増加は、茶農家に明るい未来をもたらすか

リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそう

堀の職場(京都市ごみ減量推進会議)では、「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン※1」に取り組んでいます。
「リーフ茶」とは、茶葉から淹れる茶のことで、茶種は問いません。最近はペットボトル緑茶しか飲んだことがないという人を見かけるようになりました。合わせて、ペットボトルの増加が様々な問題を招いていることについて、このブログでもこれまでに報告し、「茶葉から茶を淹れる」ことができる人を増やすことがとても大切である旨伝えきました。

ペットボトル緑茶の消費が減れば、農家は困る?

ところが、「ペットボトル緑茶の消費が増えれば、茶葉が売れるので茶農家は儲かる」という人もいます。逆の言い方をすると、「ペットボトル緑茶の消費が減れば、茶農家は収入が減って困る」ということです。果たしてそうなのでしょうか。
結論から先に言うと、「今は全くそうではない」です。もちろん一部には儲けている茶農家さんもあることでしょう。でも今利益を得ることができても、「その道は、どこまでも続く道ではない」と言えます。
なぜそう言うか、下のグラフを見てください。
緑茶・茶葉・ペット飲料の伸び(詳細)1

グラフの線の意味

赤い太い線は、国内の茶葉の消費を示しています(荒茶ベース)。国産茶葉(緑の破線)輸入茶葉(黄色の破線)の合計から、輸出茶葉(水色の棒グラフ)を引いた量です※2。この中にはペットボトル用に使われる茶葉も含んでいます。単位はトン、グラフの右目盛りを見てください。
青い太い線は、「緑茶飲料」の消費を示しています※3。緑茶飲料とは、缶、紙パック、ペットボトルなどで売られる液体の緑茶
のことです。直近の2016年は、96%がペットボトルで売られていて※4、ほぼ「ペットボトル緑茶」と言えます。単位はキロリットル、グラフの左目盛りを見てください。
なお、茶葉、緑茶飲料ともに、ウーロン茶や麦茶、紅茶、その他のブレンド茶などの茶系飲料は含んでいません。

グラフの解説

茶葉緑茶飲料、単位は違いますが、1つのグラフにすると様々なものが見えます。
まず「ペットボトル緑茶が売れれば、農家が潤うか」ですが、たしかに2004年までは「緑茶飲料」の消費拡大に合わせて、茶葉の消費も増え、恩恵を受けた茶農家もあったと思います。
1年のずれはありますが、2004〜2005年を境に両方の線がともに下がります。この頃、何があったか思い出してください。2003年に中国産茶葉から、国際的に生産・使用が規制されている有機塩素系農薬のDDTが検出されたのをはじめ、輸入食品をめぐる様々な問題が次々と明らかになったのが、この時期です。
緑茶飲料の減少に合わせて、茶葉の消費も減るため、「ペットボトル緑茶が減れば、農家も困る」と感じます。しかし減っている中身を見ると、大きく下がっているのは黄色の破線。つまり輸入茶葉です。
ここで話題にしているのは緑茶、いわゆる日本茶ですが、2000年代前半までは、輸入茶葉が多く使われていたことがわかります。

緑茶飲料の原産国表示の義務化

2009年10月に、緑茶飲料の原料原産国表示が義務化され、輸入茶葉は減り続けます。現在では「緑茶飲料」に輸入茶葉はほとんど使われていません。代わって需要が高まったのが、輸入茶葉と価格的に近い国産茶の三番茶や四番茶。当時、このような話を聞いたことがあります。「飲料メーカーが、それまで捨てていた茶葉を買ってくれるようになったので、助かると言っている茶農家がある」と…。
飲料メーカーの技術革新は並々ならぬものがあり、三番茶や四番茶からでも茶のエキスを抽出する技術の開発など、その点は敬意を払うべきかと思います。

グラフの差以上に、茶葉から茶を淹れる人が減っている

しかし、安いものが売れるようになると、反動もあります。2011〜2012年以降、ペットボトル緑茶(青い線)と茶葉(赤い線)の2つの線が違う方向に向かいます。青い線だけ上向きになり、赤い線は下がり続けます。緑の破線も下がっているので、国産の茶葉消費が減っています。
前述のように、赤い線にはペットボトル(缶、紙パック含む)用に仕向けられる茶葉も含んでいます。安い三番茶や四番茶が売れるようになっても、減り続けているのです。ということは、このグラフの赤い線の低下以上に、茶葉から茶を淹れる人が減っているわけです。

あらためて確認

近年の状況を見ると、ペットボトル緑茶だけが増え、茶葉の消費が減っています。減っているのは国産茶葉です。直近約20年、ペットボトル緑茶をはじめとした緑茶飲料の普及・浸透は、茶葉から茶を淹れる人を、じわりじわりと減らし続けてきました。そのことが、茶葉の消費そのものの減少につながっています。
しっかり茶を淹れることができる人を増やし、茶農家が丹精込めて育てた茶が、適正な価格で売れるようになる、遠回りかもしれませんが、このことが茶農家の明るい未来につながると思います。
あらためて言いますが、ペットボトル緑茶の増加は、茶農家に明るい未来展望をもたらすものではありません。

※1 リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン
http://kyoto-leaftea.net/
※2 全国茶生産団体連合会・全国茶府県農協連連絡協議会WEBサイト
http://www.zennoh.or.jp/bu/nousan/tea/seisan01a.htm
※3 「清涼飲料水関係統計資料」一般社団法人全国清涼飲料工業会より
※4 出典は※3と同じ
ウェブサイトは,図中のURLを含め,いずれも2018年6月7日確認

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