第29回日本環境教育学会年次大会での発表

第29回日本環境教育学会年次大会での堀の発表内容

日時:2018年8月25日9:00〜9:15
会場:東京学芸大学
ペットボトルリサイクルの諸問題に対するリデュース意識の普及について

以下のスライドは,環境教育学会・堀発表用2018.8.25 にまとめて掲載しています(参考資料を含む)。
スライド01

京都市ごみ減量推進会議に所属する堀と申します。私からは「ペットボトルリサイクルの諸問題に対するリデュース意識の普及について」と題した報告をします。
昨年度京都市内の5大学、8クラス、925人の学生を対象に行った、ペットボトルリサイクルの現状や、諸問題とその影響等をテーマにした講義によって、大学生たちにどのような影響を与えることができたかについての報告です。
スライド02
時間が限られますので(質疑含めて15分)、事業目的から報告します。(団体紹介については、資料を配布)

スライド03
京都市ごみ減量推進会議(この後、ごみ減と表現します。)では、ペットボトルのリデュース意識や行動の普及を目的に、2016年秋より「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン」という事業に取り組んでいます。
リーフ茶とは、茶葉から淹れる緑茶のことで、茶種は問いません。

スライド04
事業の背景として、「お茶」と言えば、ペットボトル緑茶ばかりが増え、リーフ茶の利用が近年急減しています。その中で、ペットボトル緑茶しか飲んだことがないなど、環境・ごみ問題だけでなく、文化、地場産業振興から考えても、放置できない状況になりつつあります。
一方、ペットボトルリサイクルは社会に普及・定着しました。問題は、分別・リサイクルの後です。今「リサイクル」が大きな岐路に立たされています。国内で回収されたペットボトルの4割以上が海外に輸出され、リサ イクルされていましたが、今年に入り、最大の受入国だった中国が、海外からのペットボトルを含む廃プラスチックの輸入禁止処置を取り、続いてタイも輸入禁 止の処置を取るようになりました。国内各所に行き場を失った回収ペットボトルがストックされている状況は、NHKをはじめ様々なメディアが伝えている通りです。
また、海洋ごみの中でも、プラスチックごみの問題は、海外では大きな話題になっていますし、その中で脱使い捨てプラスチックに向けた様々な動きが出ています。このあたりは、配布資料の後半に簡単に記載していますのでご覧ください。

スライド06
なぜ「緑茶」を取り上げるのかについて、上のスライドに記載しました。
近年ペットボトル飲料の中で、特に増加が著しいのがミネラルウォーターと「緑茶飲料」であること、
京都という土地柄を考慮し、様々な主体との協力が得られるとの期待があったこと。
ペットボトル飲料に対する身近な代替手段であり、上質な暮らしや支出面からの訴求もしやすいと考えました。

スライド07
ごみ減の「リーフ茶の普及で…」の活動には3つの柱があります。
1つ目は、一般を対象にしたリレートークと題した連続講座です。昨年度は「海ごみ」をテーマにし、今年度は「脱プラ」をテーマにしています。ただしこれは関心の高い人でないと参加していただけません。
2つ目の柱は、「リーフ茶大学講義」。大学にゲスト講師として招いていただき、ペットボトルリサイクルの現状や、代替手段としてのリーフ茶利用について情報提供させてもらいました。
3つ目は、市民層のうち無関心層を対象にしたもので、人を集めるのではなく、人のいるところに出向き、働きかけるものです。

以下、2つ目の柱「リーフ茶大学講義」について報告を進めます。
目的は、生まれた時から当り前にペットボトル飲料に接し、リサイクルの大切さも学んできた大学生たちに、リサイクルよりも優先度が高いとされるリデュース意識を持ってもらうことが、わずかな時間の情報提供で可能かどうか、可能であれば、どの程度の効果が期待できるか、このようなことを知ることで、持続可能な消費や社会の在り方を考える材料を得ることにあります。

スライド08
実施校については「実施校一覧」に示した通りです。
2017年度は5校、8クラスで実施し、925人からアンケートの提出を受けました。このアンケートは出席や成績に反映しませんので、受講者の実数を反映していると考えます。

スライド09 スライド10
アンケートの内容につきましては、上の2枚のスライドに掲載しています。

スライド11
アンケート結果から見える成果について報告します。まず講義前に「ふだんのペットボトル飲料の利用」について尋ねました。緑茶飲料に限らず500ml、1日1本以上を「よく利用する」、数日に1本は「時々利用する」、それより頻度が低ければ「あまり利用しない(ほとんど利用しないを含む)」として、3択で答えてもらいました。講義前39.3%。ほぼ4割の学生が「よく利用する」と答えました。

それに対して講義後、「今後の利用はどうしますか」の問いに「これまで通り(多く)利用する」と答えた学生は、8.2%とほぼ5分の1に減りました。これはどこか特定のクラスが特に低く平均値を下げたのではなく、どのクラスでも4〜5分の1に減りました。また、「少し減らす工夫をしてみようと思う」と答えた学生も、ほぼ8割になりました。

スライド12
先ほどの表を、グラフで示すとこのようになります。

スライド13
1クラスだけ、効果の持続について調べることができました。一ヶ月半後に行ったフォローアンケートで、ほぼ半数の学生が「少し減らす工夫をするようになった」と答えています。

スライド14
「ペットボトルを減らそう」というプロジェクトへの印象は、講義前と比べて、講義後は好意的に受け止めてもらえるようになったと思います。

スライド15
「印象深かったパート」は、選択肢への記入の上位3位までを黄色に、下位3位を水色に着色しています。「ペットボトルの環境負荷」について話したパートが最も印象深かったという答えが返ってきました。環境活動を実践している者にとって、よく知られた情報でも、学生たちにとっては、むしろ新鮮な話題、新しい情報であることがわかりました。

スライド16

先の表をグラフ化すると上図のようになります。

スライド17
また、大学や学部による学生たちの反応の違いは、選択肢回答よりも、自由記述からキーワードを拾い上げることで、より明確に表れることがわかりました。

スライド18

「成果のまとめ」として以下のことがわかりました。
○2017年度の受講者数が,5校8クラスで925人になった。
○講義後のプロジェクトへの共感・関心度が,昨年度小クラスで試験的に実施した時と同様に高まった。
○講義の前後で,「よく利用する」と答えた学生が,4割から1割未満になり、「少し減らす工夫をしてみようと思う」と答えた学生が8割近くに達した。
○自由記述には,選択肢記入には表れにくい学生たちの想いや,大学ごとの関心の違いが表れた。
○昨年度試験実施した際の受講者が今年度も参加していて、アンケートの記載内容や、一部フォローアンケートの結果から,本プログラムの効果が持続していることがわかった。

スライド19
「成果から見えること」として、以下をあげます。
手順を追って、ペットボトルの環境負荷やリサイクルの現状などを伝え、かつ具体的な代替策を伝えることで、学生たちのペットボトル飲料依存を下げることは可能。
学生たちの最も印象深かった、関心が高かった話題は、「ペットボトルの環境負荷の高さ」だった。環境活動実践者にとって、よく知られた情報でも、学生たちには、届いていない情報だった。
川ごみにおけるペットボトルの多さ、海ごみへの影響、海外に頼ったリサイクル、中国の廃プラ禁輸など、知られていない情報も多い、などのことがわかりました。

スライド20
今年度もこの事業は継続して実施しています。今年度はアンケートに,「小学校で分別・リサイクルの大切さを学んで以降、中学または高校で,分別後のペットボトルについて,学んだり,調べたことはありますか」という質問を追加しています。

スライド21
2018年度成果の中間報告です。
今年度3大学4クラスで、329人の学生に先ほどの質問をしたところ、6割近い学生から「ない」という返答がありました。また「学んだり、調べたことはあるが、小学校で得た知識・情報とほぼ同じだった」という学生と合わせると、8割近い大学生が分別・リサイクルについては、小学生当時の知識・情報のまま大学に至っていることがわかりました。おそらくそのほとんどがそのまま社会に出ているものと思われます。
日本では、小学生のうちから、リサイクルの大切さについて教えられ、理解が根付いています。しかし、使い捨て用品の大量使用そのものは、むしろ拡大しています。中学、高校と、商品やサービスの選択の機会が増え、消費者として成長する過程で、年代に則した生活系環境教育が不足していることがわかりました。今後の持続可能な社会構築のための課題がこのあたりにあると思われます。

スライド22
スライド23
上記の参考情報は、PDF資料の後半をご覧ください。

以上

 

 

 

 

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