グラフは語る その5 茶葉の生産が減り、ペットボトル緑茶だけが増えている

今回のグラフは、茶葉と緑茶飲料(ペットボトル茶)の量の比較

「グラフは語る その4」で、清涼飲料の中で、近年特に消費が増えているのが、ミネラルウォーターと緑茶飲料だと紹介しました。この2種はいずれも90%以上ペットボトルで供給されています、特に緑茶飲料は96.5%がペットボトルで販売されています(2017年)。
それほどペットボトル緑茶が増えているなら、原料の茶葉もよく売れて、茶農家さんは大喜びしているのでは…、と思ってらっしゃる人もあると思います。実際、どうなのでしょうか。

chaba_ryokucha_inryouクリックすると拡大します

違う方向に進む2つの線

今回のグラフは、2軸グラフです。オレンジ色の線は国内での茶葉の生産量の推移(1990年〜2017年)。緑色の線は同期間の緑茶飲料(近年はほとんどがペットボトル)の消費量の推移をあらわしています。2つ線は単位が違うので、「傾向」を示すものとしてご覧ください。

2つの線を見ると、ある時期(2003年頃)までは、緑茶飲料の売上増が茶葉の生産量を押し上げているように見えます。しかし、最近5年ほどは、オレンジ色と緑色の線がはっきり違う方向を向いています。売れているのはペットボトル緑茶ばかり。国内の茶葉生産量は最近10数年で3割以上減っています(日本国内全体の生産量です)。

丹精込めた茶葉が売れにくくなっている

最近の国産ペットボトル緑茶は、ほぼ全量国産茶葉を使っています。オレンジの線には、ペットボトル用茶葉も含んでいます。それでも茶葉の生産は急減しています。
ということは「ペットボトル緑茶が茶農家を支えている。ペットボトル緑茶の売上が減れば、茶農家が困る」と思う人もいらっしゃると思います。いやいやそうではないのです。「安い茶葉ばかりが売れて、丹精込めて作った茶葉が売れにくくなっている」のです。
世の中に、ペットボトル緑茶しか知らない人、茶を淹れたことがない人が増えつつあります。ペットボトル緑茶は売れているけれど、丹精込めて作った茶葉が売れにくくなっていることを、このグラフは示しています。その先に茶農家さんの明るい未来はない、といえます。

京都市ごみ減は「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそう」

茶葉から淹れた茶を美味しさがわかる人、茶を淹れることができる人を維持し増やして行くことが、ますます重要になっています。
京都市ごみ減量推進会議は、「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン」に取り組んでいます。
https://kyoto-leaftea.net/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です