第30回 廃棄物資源循環学会研究発表会での堀発表

脱使い捨てプラの意識普及に向けた事業成果報告

 2019年9月21 日、宮城県仙台市東北大学川内キャンパスで開催された第30回廃棄物資源循環学会研究発表会で、堀からも報告をしました。
 京都市ごみ減量推進会議は2016年秋から「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン」に取り組んでいます。市民や学生など様々な階層、年代の人たちに向けた活動を続けてきましたが、その中から、2018年以降の市民向け、学生向け事業で得たアンケートを、性別・年代ごとに整理し、ペットボトル飲料の利用頻度やリデュースに向けた働きかけの成果を報告しました。

以下のURLに、当日の配布資料をアップしています。

http://horitakahiro.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2019/09/1cbe4c9a7d112e2aac6643d4da5d5347-2.pdf

これより下は、概要原稿(A4・2ページ)の内容を掲載しています。
脱使い捨てプラの意識普及に向けた事業成果報告

1.はじめに

 京都市ごみ減量推進会議は2016年秋から「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン(以下、本事業)」に取り組んでいる。リーフ茶とは茶葉から淹れる茶のことで茶種は問わない。狭義のごみ問題だけでなく、文化や地場産業、豊かさなど様々な分野の情報と絡め、緑茶に限らずペットボトル飲料に頼った暮らしの見直しを提案している。活動実践者など関心の高い層だけでなく、大学生や無関心層など、様々な階層に向け活動を展開している。
 そのような中、近年海洋ごみ問題の深刻化や2017年以降の中国をはじめ東南アジア諸国の海外廃プラの禁輸などにより、使い捨て(シングルユース)プラスチックの削減に向け世界で動きが活発になっている。3Rの中で最も優先順位が高いとされるリデュースの重要性が、今あらためて高まっている。合わせて、グローバルな環境問題の解決・軽減に向け、ローカルな活動の積み重ねもますます重要になっている。

2.事業目的と報告の概要

 「脱使い捨てプラスチック」の声をよく聞くようになった。ペットボトルはシングルユースプラスチックの一部ではあるが、リデュースについては中身商品への配慮からか、行政の市民向け啓発でも「マイボトル持参」のように、婉曲的に取り上げられることが多かった。しかし、各地の川ごみ調査でペットボトルは回収ごみの上位を占めることが多い1)。また2017年度まで、国内で回収された廃ペットボトルの4割以上、年間20万トン前後が海外に輸出される2)など、分別の徹底だけでは解決できない問題も見えてきた。ペットボトルを削減対象とした活動を進めることで、他の様々な脱プラ活動の加速に寄与できると考える。そのことで、プラスチック多消費社会の見直しに寄与することを本事業の目的としている。
 昨年の第29回大会では、本事業のうち、無関心層を含む市民向け事業(事業名、2R茶会)」の成果報告をした。「おいしいお茶の淹れ方講習」と組み合わせることで、ペットボトル飲料に対するリデュース意識を高める効果があることを、アンケート結果をもとに報告した。今回は、2018年度以降の市民向け及び大学生向け事業で得たアンケートを整理し、性別、年代別のペットボトル飲料の利用頻度と、リデュース意識の醸成効果について報告する。

3.調査の対象と規模

 一般市民(無関心層を含む)に向けては、「人の集まる場所に出向く」をコンセプトに、水道施設の一般公開や祇園祭関連イベント会場などにテント出店し、日本茶インストラクターによる「おいしいお茶の淹れ方講習」を実施している。予約はとらず、テント前を通る人に声をかけ、10数人集まるたびに開催した。20分程度の講習終了後、短時間でペットボトル緑茶の増加とペットボトルリサイクルをめぐる諸問題を伝え、アンケートに記載してもらった。これまでに、2016年度169人、2017年度318人、2018年度451人、2019年度332人、計1,270人からアンケートを得た。
 大学生に向けては、2017年度以降、主に京都市内の複数の大学にゲスト講師として招いてもらい、「1本のペットボトルから、世界と未来が見える」と題した講義を各1時限担当させてもらっている。そこでは、ペットボトル飲料の消費実態、廃ペットボトルの海外輸出の常態化、海洋ごみとの関係、代替手段などを伝えている。2017年度は5校8クラスで実施し、925人からアンケートの提出を受け、2018年度は5校8クラスで651人、2019年度は前期だけで4校4クラスで442人からアンケートの提出を受けた。

4.アンケートの内容とねらい

 アンケートの内容は、市民向けと大学生向けで一部異なるが、共通している質問として、ペットボトル飲料の利用頻度(講習・講義前後の変化)の問いがある。講習・講義前の「ふだんの利用」では、500mlボトル換算で1日1本以上の利用を「よく利用する」、数日で1本の利用を「時々利用する」とし、「ほとんど利用しない」を加えた3つの選択肢から最も近いものを選んでもらった。講習・講義後の問いは、「(今後も)よく利用する」、「少し減らす工夫をしてみようと思う」、「ほとんど利用しない」のうちから選択してもらった。個人の特定につながる情報は求めていない。
 2019年度から追加した質問がある。「リサイクルや放置容器の清掃等に、現状多くの税金やボランティアの労力が費やされている。その費用を商品代に含めて利用者本人に負担してもらうとしたら、何円程度がよいか」という質問である。答えは、「0円(現状のままがよい)」、「5円程度ならよい」、「10円程度」、「15円程度」、「20円以上」の5つから1つ選択してもらい、ペットボトル飲料を「ほとんど利用しない」という人にも答えてもらった。
 前者は、便利、手軽な存在として多くの消費者の支持を得たペットボトル飲料について、現状の問題等を伝えることでリデュース意識をどの程度生み出すことができるか明らかにするため尋ねている。後者は、社会的費用の価格内部化により、商品利用者の負担増が生じた場合の受容度を明らかにするため質問に加えた。これにより、リサイクルをめぐる新たな社会システムを考える資料としたい。その成果は今年度のまとめを行った後、次年度発表する。

5.アンケートの結果

アンケートの結果を表1と表2にまとめた。表1(市民向け事業)を見ると、講習前に「よく利用する」と答えた人は全体で18.9%だが、男女別に見ると、男性の率が女性より2倍以上が高い。年代別に見ると、概して若い年代の率が高いが、年代が高くなるほど、ゆるやかに率が低くなるのではなく、男女とも60歳を境に段差が見られる。ペットボトル飲料の消費が大きく伸びたのは1990年代半ば、缶飲料の消費は1980年代から伸長する。シングルユース容器が広まる以前の社会を知る世代と、経験していない世代とのギャップではないだろうか。また別の見方をすると、「分別・リサイクル」などの環境教育を受けた世代の方が「よく利用する」率が高い。このことは、これまでの環境教育が、リサイクルの普及には効果があったが、リデュース意識を広めるものでなかったことを示している。

表2を見ると、20歳前後の大学生の場合、「よく利用する」はさらに高くなる。特に男子は50%以上になった。一方、講習・講義後の「今後もよく利用する」は、男女問わず、どの年代も大きく減少している。市民向け事業の場合、既述の通り、おいしいお茶の淹れ方体験と、短時間だが「リサイクルの現状」について伝えている。

大学生向け講義では、「体験」はないが、「リサイクルの現状」とペットボトルに限らず、使い捨てプラの代替策などを90分の講義時間の大半を使い、順を追って伝えている。
共通しているのは「現状」と「代替策」で、この2つのを伝え方が、リデュース意識を高めるうえで、どの年代、階層に対しても重要なカギになることを強調したい。

.今後の課題

 本事業は地道に成果をあげつつあるが、研究のための調査活動ではなく、社会活動の成果をまとめたものである。実際に働きかけができているのは、京都市内のごく一部の層に過ぎない。ごみ問題をめぐる状況は急速に動いている。本事業を面的に広めることが、大きな課題である。京都市ごみ減量推進会議は行政や地縁組織ともつながりが深く、2019年度の課題として、地域への面的な浸透をあげたい。また、「事業目的」にあげた「他の様々な脱プラ活動の加速への寄与」の実現につながるよう本報告の成果をわかりやすく伝えていくことも課題としてあげたい。

1)  NPO法人荒川クリーンエイドフォーラム2016年度報告書には「散乱ごみの8年連続1位がペットボトル」と記載されている。https://cleanaid.jp/repeat/report/year, 2019.6.12確認

2)  PETボトルリサイクル推進協議会WEB「統計データ・リサイクル率の算出」より http://www.petbottle-rec.gr.jp/data/calculate.html,2019.6.12確認

以上の概要原稿(A4・2ページ)は、以下のURLにアップしています。
http://wp.me/a7SsLU-kU

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