それは中国や東南アジアの国々?
表題の問いに多くの人がイメージするのは、中国や東南アジアの国・地域でしょう。もちろんそれも正解! でも、他にもっと身近な国があります。日本です。こんなことを書くと、「日本は中国や東南アジアよりずっと前から工業化していて、『近年』とは言えないのでは…」と思う人も多いと思います。果たして、どうでしょうか。グラフを見ていただきましょう。
20年で3倍
下のグラフは、一般社団法人 プラスチック循環利用協会が発行している「2018 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」に掲載されているデータから作成したものです。
棒グラフの左3本は、5年刻みになっています。最も左の1980年のプラごみ排出量は326万トンでしたが、それから10年後の1990年には557万トンになりました。1.7倍の増加です。
さらにそれから10年後の2000年、1.8倍にあたる997万トンまで増加しました。翌2001年、1,016万トンでピークを迎え、以降2008年まで、1,000万トン前後で推移します。1980年の326万トンから、2001年の1,016万トンまで、20年で3倍以上に増えています。
バブル崩壊後に増え続けたプラごみ
日本では戦後まもなくプラスチックの生産がはじまり、1950年代にはプラスチック(塩化ビニル)の生産が拡大しました(注)。半世紀以上昔から、プラスチックは私たちの暮らしの隅々にまで浸透し、便利さを与えてくれました。でも、プラスチックごみが急激に増加したのは、大昔のことではないのです。
もうひとつ注目したいのは、1990年代なかば以降、バブル景気崩壊後の大不況の間も、プラスチックごみは増え続けたことです。一方、プラスチックのリサイクルは社会に根付きました。
気づけば、大プラごみ輸出国に
1990年代後半以降、世の中は不況、プラスチックごみは増え、分別回収で回収されるプラスチックも増える。で、国内でリサイクルされていたかというと、国内でリサイクルしきれないプラごみが毎年100〜150万トン、「輸出」されるようになっていました。
「分別回収をやめよう」「プラスチックリサイクルは意味ない」なんて、言いません。便利すぎて頼りすぎたプラスチックとの付き合い方を、本気で考え直すべきだと思います。
グラフの出典
2018 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況
一般社団法人 プラスチック循環利用協会
2019年12月発行
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf2.pdf
プラスチックの生産量・消費量・排出量の推移より
注) 日本プラスチック工業連盟 目で見るプラスチック統計より
http://www.jpif.gr.jp/2hello/conts/toukei_c.htm
URLはいずれも2020年1月12日確認