グラフは語る28 物質フローにみる日本の姿

今回のグラフは環境省「我が国における物質フロー」から

環境省が毎年発行している「環境・循環型社会・生物多様性白書」に、「我が国における物質フロー」という図が掲載されています。
各年度版(22年分)の「我が国における物質フロー」から、国内資源利用量、海外資源輸入量、エネルギー消費及び工業プロセス排出量、循環利用量、廃棄物・最終処分量を抜き出して作成したのが、今回のグラフです。


図1 日本国内の資源利用の推移

循環利用量は増え、最終処分量は減ったけど

図の中の下から2番目の折れ線グラフを見てください。循環利用量については、1990年台後半から、容器包装リサイクル法、自動車リサイクル法、家電リサイクル法、建設リサイクル法など個別分野ごとのリサイクル法が相次いで整備され、1995年の1.93億トンから、2017年の2.37億トンへと約20%増えました、それに伴い廃棄物の最終処分量も減っています。しかし、海外資源の輸入量やエネルギー消費量は減っていません。というか、むしろ増えています。

世の中の大きな流れは変わらない

大きく減ったのは国内資源利用量。22年間で半分以下に減っています。木材や農産物も国内資源ですが、これらはグラフ左端の1995年より前に、すでに自給率が大きく減っていました。2000年以降の大きな減少は主に土石系資源の利用減がもたらしたもの。公共工事など大規模な土木工事の減少が要因です。
リサイクルが盛んになる前、よく「リサイクルが進めば、海外からの資源輸入が減り、エネルギーの節約になる」と聞かされてきました。たしかに多くの使用済み製品や建設廃材などがリサイクルされるようになり、その成果として最終処分場への埋め立てごみは減りました。しかしながら、海外資源の輸入削減やエネルギーの節約にまでは反映していません。
「循環型社会」はある面、実現しつつありますが、海外から大量に資源を輸入し、多くのエネルギーを消費して成り立っている「大量消費社会」は、何も変わっていないように見えます。

 

環境・循環型社会・生物多様性白書(最新の白書)
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/index.html

これまでの白書 環境・循環型社会・生物多様性白書(平成21年版~)
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/past_index.html いずれも2020.6.7確認

 

 

《参考 白書掲載の物質フロー図》

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