第21話 待ったなし 海ごみ・マイクロプラスチック対策

国連も求める「プラスチック削減」

5月30日(火)京都新聞夕刊で、海ごみ・マイクロプラスチックの問題が特集されました。
記事によると、国連環境計画(UNEP)の試算では、年間800万トンものプラスチックごみが海洋に放出されています。それが細かく砕け、微細なマイクロプラスチックとなり海洋生態系に深刻な被害を与えています。
日本からも多くのプラスチックごみが海洋に流れ出しています。海ごみは、そのほとんどが陸から流れ出たもの。その背景には、プラスチック製品の消費を野放しに拡大してきた私たちの暮らしがあります。国連環境計画は、包装用プラスチックの使用を最小限にするよう「プラスチック削減政策」の実施を各国に求めています。求めているのが、「リサイクルの推進」でなく「削減」であることにご注目ください。
2017.5.30京都新聞海ごみ記事

 図1 5月30日(火)京都新聞夕刊「海ごみ・マイクロプラスチックの特集記事」

 

プラスチックごみ全体をどう減らしていくか

図1の右下にコメントが掲載されている京都大学酒井伸一教授は、「世界のプラスチックごみ対策が新たな局面に入ったということを、きちんと認識した方がよい」と指摘されています。合わせて、現在の日本の容器包装リサイクル法の問題も指摘され、「プラスチックごみ全体をどう減らしていくかという観点からの議論が必要だ」と述べられています。

各地の河川調査では、多くのペットボトルごみが見つかっている

ここからは新聞記事から離れ、関連した記述です。
下に添付しているグラフは、NPO法人プロジェクト保津川が定期的に実施している保津川清掃で収集した放置ごみの調査結果。収集されたごみの堂々一位はペットボトルです。これは保津川に限ったことではなく、他地域からも同様の調査結果があがっています※。これらは大雨によって下流に流され、やがて海ごみとなってほぼ永久にさまよい続けます。
ペットボトル業界が発表するリサイクル率は年々向上し、90%に迫っていますが、実際にはこのような状況です。市民ボランティアの大変な努力によって、海ごみになる前の放置ごみが回収されています。ただし、それは日本の陸地から放出される海ごみのごく一部です。

ボランティアまかせでも、道徳に訴えるのも限界

このような状況をどのように改善したらよいのでしょう。一部の不届き者を見つけ出し懲らしめたらよいのでしょうか。もっとリサイクルの分別を徹底すればよいのでしょうか。もっと市民が地域清掃をがんばればよいのでしょうか。大事なことが他にあると思います。
保津川水系で回収された放置ごみ
 クリックすると拡大します。

図2 京都府亀岡市保津川水系で改修された放置ごみ
  データ提供 NPO法人プロジェクト保津川
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図3 東京都荒川河口付近で大量に見られるペットボトルごみ
  写真提供 NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム

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