グラフは語る14 野菜の「旬」はどこに行った?その2 冬は冬野菜を食べよう

 前回の「グラフは語る13 野菜の「旬」はどこに行った?その1 冬に夏野菜を食べると…」では、「冬に夏野菜を食べるようになった」ことによる影響として、以下のことを、グラフを示してお伝えしました。
・夏野菜は、冬に出回るようになった一方、本来の旬である夏の消費が減った。
・季節はずれの消費が増え、消費の山がなだらかになると、年間消費全体が減っていく。
 今回は、冬野菜の消費の変化をみることにします。前回と同様、東京都中央卸売市場に入荷した月ごとの野菜の量を、1970年以降、ほぼ20年おきに示します。ほうれんそう、さといも、はくさい、だいこん、ねぎといった冬野菜の代表選手たちに登場してもらい、1970年を青線、1990年を黒線、2010年を赤線、2018年を緑の点線で入荷量を表しています。

図1 ほうれんそうの東京都中央卸売市場への月ごとの入荷量
東京都中央卸売市場年報より 堀 孝弘作図

 ほとんどの冬野菜が地味な存在なので、「野菜離れ」の影響や、新たに登場した海外原産の野菜に人気を奪われるなど、それぞれ苦戦しているものと思われます。
 その中でほうれんそうは、夏に収穫できる品種の登場で、夏の消費も増えました(1990年)。ところがグラフが示す通り、本来の旬である晩秋から冬にかけての消費が減り、消費の山がなだらかになりました。すると、その後(2010年以降)の年間消費は、大きく減少していきました。
 ほうれんそうの消費減少は、アニメのポパイを見て育った世代にとって、ちょっと寂しい気がします。

図2 さといもの東京都中央卸売市場への月ごとの入荷量
東京都中央卸売市場年報より 堀 孝弘作図

 さといもも、ほうれんそうと同じような動向が見えます。夏の利用が増えたところ、本来の旬の消費が減りました(1990年)。すると以降は季節を問わず消費が減り続けています。面倒な皮むきの手間を省こうと、「皮むきさといも」が袋詰めで売られるなど、生産者や流通事業者は努力していますが、それは加工食品にカウントされています。なので、このグラフより、もう少し消費が多いはずで、それがせめてもの救い(?)かな。

図3 はくさいの東京都中央卸売市場への月ごとの入荷量
東京都中央卸売市場年報より 堀 孝弘作図

 冬野菜の代表選手のようなはくさいの場合、旬以外の消費が増えるでなく、本来の旬である晩秋から冬かけての利用が、年代を追うごとにずるずると減っています。

図4 だいこんの東京都中央卸売市場への月ごとの入荷量
東京都中央卸売市場年報より 堀 孝弘作図

 だいこんは、1990年にかけて旬以外の利用が増え、消費拡大に成功したように見えました。ですが、ここまで述べてきたように、消費の山がなだらかになると、その後は、季節を問わず消費が減っています。

図5 ねぎの東京都中央卸売市場への月ごとの入荷量
東京都中央卸売市場年報より 堀 孝弘作図

 ねぎは、他の野菜ほどの大きな変化ではありませんが、やはり旬以外の消費が増えるのに反して、本来の旬である冬の消費が大きく減っています。

 今回、冬野菜の厳しい状況をお伝えしました。よく「旬の野菜を食べよう」と言われますが、それぞれの野菜の利用がどのように変化したか、具体的に見ていくことも必要だと追います。冬野菜も夏野菜と同じように、旬以外の出荷・消費が増えると、本来の旬の消費が減っています。
 言いたいのは、冬には冬野菜を食べよう!です。

おまけ(夏野菜でも、かぼちゃは施設栽培ではなく、遠距離輸送で)

図6 かぼちゃの東京都中央卸売市場への月ごとの入荷量
東京都中央卸売市場年報より 堀 孝弘作図

 かぼちゃの消費は、激しく変動しています。もともと夏野菜ですが、季節が正反対の南半球のニュージーランドやトンガで栽培し、運ぶことで旬以外の需要に対応しました、というか、そうやって商社主導で旬以外の需要を作り出してきたわけです。作り出された需要に踊らされた姿が、激しく変動しているかぼちゃ入荷量の折れ線グラフにあらわれているように思います。

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