グラフ更新 その4 プラスチックくずの輸出量と輸出先

日本からのプラスチックくず輸出量の推移

前回(プラスチックくず輸出量の増加)につづき、日本から外国へのプラスチックくずの輸出量の変化と輸出先について、財務省の貿易統計のデータ*1 をもとにグラフにしました。
前回にもお伝えしたように、2017年7月、世界最大の廃プラスチック輸入国だった中国が、翌年1月から古紙や廃家電などとともに、廃プラスチックの原則輸入禁止とすることを発表しました。
日本にとって中国は、プラスチックくずの最大の輸出先でした。下のグラフでは、中国(黄色)とその他の国(青色)を色分けしました。2017年と2018年で大きく様子が変わることがわかると思います。

輸出先上位はどんな国

2018年、日本からのプラごみ輸出の実態がマスコミでも取り上げられ、大きな関心を集めました*2。中国はプラごみの海洋流出が最も多い国として指摘を受けていました*3が、2018年以降、中国に変わって輸出先となった国の中には、プラごみ海洋流出の多さを指摘されていた国がいくつも入っていました(財務省貿易統計の「プラスチックくず」には、工業原料として利用可能なものも含まれますので、先進工業国も輸出先に並んでいます)。

下の表は、本ブログで4年前(2019年7月5日)に掲載した記事中のものです。表の右側は、Jambeckらが調査した、プロごみ海洋流出トップ10です。左は中国のプラごみ輸入禁止処置後の日本からのプラごみ輸出先トップ10です。赤字は右の表で、プラごみ海洋流出トップ10に入っていた国です。

輸出先の顔ぶれは変わっていない

下のグラフは、財務省の貿易統計をもとに、2022年の日本からのプラスチックくずの輸出先上位10国を示しています。こうやって比べると、たしかに輸出量は大きく減っていますが、輸出先の顔ぶれは変わっていません。
プラごみ海洋流出が多い国・地域へのプラスチックくずの輸出がまだまだ多いことに注視が必要だと思います。

*1 財務省貿易統計 普通貿易統計 品別国別表 輸出財務省貿易統計
普通貿易統計品別国別表 輸出より
http://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm 2021年8月28日確認
(同統計を出典とする場合、プラスチックごみではなく、プラスチックくずと表現しています)

*2 織 朱實,日本のごみは どこに行くの?,国民生活センターわが家のごみ箱はS D Gsとつながっている 第4回,2021年3月など。
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202103_06.pdf 2023.5.30確認

*3 Jenna R. Jambeckらの調査による2010年における推定。
Plastic waste inputs from land into the ocean Science2015
Science  13 Feb 2015:Vol. 347, Issue 6223, pp. 768-771
https://science.sciencemag.org/content/347/6223/768.full

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